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斑猫に地球の行方問うてみる
あの忌まわしい酷暑はどうにか過ぎましたが、10月に入っても昼間は残暑が厳しく、四季を失くしたかのような気候は一体どうなっているのかと思うばかりです。
さてそんな中、シリーズでご紹介させていただいております高野事務所ご利用者Mさんの俳句が、今回、京都新聞俳壇で見事に入選作として掲載されました。おめでとうございます。そしてMさんの俳句が、まさしく今の異変の多い地球環境のことを案じた作品になっています。
最初に句冒頭の「斑猫(はんみょう)」という単語を目にした時、どんな猫かとネットで検索しましたら、なんと昆虫の名前でした。今の時代「虫」と聞いただけで敬遠される方も多いと思いますが、昆虫のなかでもピカイチの美しい甲虫と言われているそうです。地上をすばしっこくさっさっと走り回る様子が、まるで猫のように見えるので「猫」という字が当てられているとか。また、山道などで人が近づくと、少し先に飛んで逃げ着地し、それを繰り返しながら、あたかも人に行く先を教えているように見えるので「道オシエ」「道シルベ」という異名を持っていることも分かり、この俳句の意味がようやく理解できました。
近年の地球レベルでの気象変動や、後を絶たない武力紛争(多くの死傷者・核の脅威)による惨状を体験している人類は、これから先の地球がどうなっていくのか不安に感じており、どうにかしなければという事は、皆の共通認識になっています。それでも、テクノロジーは限りなく進歩を続けて、人類は表面的な生活の豊かさを享受することに熱中しています。
Mさんは、そんな危うい状況にある母なる大地の行方を、わずか数センチのきらびやかな昆虫に問うという表現で、私たちにひとつの警鐘を鳴らされたのでしょう。私たちも、地球環境を度外視している今の「成長神話」を少し振り返り、Mさんのこの作品を感じ取りたいものです。Mさん、今回もありがとうございました。
これまでのMさんの作品をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
https://www.kyoto-fukushi.org/office/news/13612/