HAPPY PLANNINGまちをつくるしごと
西院デイサービスセンター
西院においでやす ~多世代交流食堂から共に生きる福祉へ~
みんなでつくる、みんなの食堂
2016年、高齢者福祉施設・西院(京都市右京区)を拠点に、多世代交流型の食堂「おいでやす食堂」は始まりました。運営母体は、施設の職員、地域住民、学生が一緒になって立ち上げた「みんなの居場所制作委員会」という任意団体。世代も肩書も関係なく、関わる人すべてが「運営者」として、同じ目線で月1回の食堂を作り上げているのが特徴です。
毎月第3金曜日の夕方になると、施設内の地域交流スペースが賑やかな食堂へと変わります。参加するのは、子どもからお年寄りまで。準備の段階から、施設の利用者も調理に加わり、当日も、受付や配膳などを、地域のボランティアや学生と一緒に担います。
取り組みの背景にあるのは、「支える側」「支えられる側」という関係性を越えて、誰もが役割をもち、自分らしくいられる場所をつくりたい、という思い。役割を分かち合うことが、互いの関係が深めるきっかけとなっていきます。「誰かのため」ではなく、「ともに生きる」を大切にする。それが、おいでやす食堂です。
コロナを越えて、居場所を続ける
2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で、対面での開催ができない時期が続きました。それでも、「地域とのつながりを止めたくない」という一心で、お弁当を配布する形態に形を変えて活動を継続。感染対策を講じながら、可能な範囲で、食を通じたつながりを絶やさないようにしてきました。
そして2024年春、再び対面での開催をはじめることができました。再開初日、コロナ前は小学生だった子が、中学生になって、友達を連れて参加してくれました。成長に驚くとともに、居場所を途切れさせずに続けることの意味を実感し、とても嬉しい気持ちになりました。
現在も食堂には、毎回50人ほどが集い、子どもたちの声、高齢者の笑い声、料理の香りが交差する温かい空間となっています。無理に交流を促すわけではありません。みんなで同じものを食べたり、たまたま隣に座った人とちょっとした会話を交わしたり。そんな自然な関わりのなかで、気がつけば「また来たいな」と思えるような空間であれるよう、これからも取り組んでいきます。