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虚像美し水面に映る紅葉かな
俳句シリーズ第24回です。京都新聞文芸欄に掲載されたおなじみ高野事務所ご利用者Mさんの俳句作品です。
虚像美し水面に映る紅葉かな
錦織なす晩秋の情景がありありと目に浮かんできます。同時に、水鏡に静かに映し出されたもうひとつの景色が、虚ろでありながら、その世界に心惹かれてしまうMさんのお気持ちが伝わってきました。ひかりの反射が紡ぎ出す虚像としての紅葉が、実像としての地上の紅葉の美しさを際立たせています。写実的でありながら、Mさんの内面がそことなく表現された秀逸な句です。直ぐに連想したのが、高校の授業で学んだ劇作家近松門左衛門の「虚実皮膜」という言葉です。 「芸というものは実と虚との皮膜の間にあるものなり。虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間に慰みがあるものなり」
同じ現実社会=<実>を生きている私たちも、それぞれに夢やあこがれ、喜び、時としては落胆や悲しみという物語=<虚>を抱えながら生きています。その<実>と<虚>が様々に絡み合いながら、それぞれの人生が息づいています。
Mさん、今回も深まりゆく秋の情景と共に、こころに響く俳句をありがとうございました。
写真提供
https://www.instagram.com/songbird.graphy/?hl=ja
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