事業所ニュース
人類はどこへ向かうや去年今年(こぞことし)
新しい年の幕開けにふさわしく、高野事務所ご利用者・Mさんの俳句紹介シリーズ第25回目は、京都新聞文芸欄【俳壇】に「入選」として掲載された作品となりました。Mさん、心よりお祝い申し上げます!
人類はどこへ向かうや去年今年(こぞことし)
前回の作品は、秋の自然の織りなす美しさを湖面に映る虚像から詠まれましたが、今回は一転して、その自然を糧にして歩んできた「人類」に警鐘を鳴らす重厚な俳句になっています。昨今の世界に目を向ければ、絶え間なく起きている戦禍で、子どもを含む無辜の人々の多くの命が絶たれ、悲しみは渦潮のように尽きることを知りません。また、各地で様々な理由により、人々の間で対立と分断が広がり、憐れむべき様相を呈しています。「どこへ向かうや」という表現から、こうした現実を案じられたMさんのお気持ちが伝わってくるようです。しかし、この句の核心は結句の季語「去年今年(こぞことし)」にあるのではないでしょうか。混迷の時代だからこそ、新しい年(今年)には平和と共生という希望の「光」が差し込んでほしい。Mさんは、そんな一筋の願いをこの句に託されたのだと思います。
思い起こされるのは、戦後の東西冷戦の中で泥沼化したベトナム戦争のことです。1960年代後半、惨劇は目を覆うほどになり、世界各地で若者を中心に平和を求める運動が展開されました。若者たちはギターを手に集い、歌を歌い、ただ純粋に戦争の終結を訴え続けました。 若者たちは、「人類はどこへ向かうべきか」を自らに問い、新しい時代の理想を熱く追い求めていました。そのような情熱的なエネルギーが、やがて歴史を前に動かしたのか、数年後に戦争はついに終結を迎えました。「明けない夜はない」という言葉があります。新しい年が、Mさんの願いのように、より良い方向へ歩み出す一年となることを心から祈りたいと思います。Mさん、今回も思慮深い俳句をありがとうございました。
*今回の紹介文に寄せて、当時の若者たちが理想を求めて歌い継いだ名曲をご紹介します。https://youtu.be/4jCNGHk8Y4g?si=s64l1pKrrpeHR8ZQ(花はどこへ行った)
これまでのMさんの作品をご覧になりたい方は下記をクリックしてください。https://www.kyoto-fukushi.org/office/news/17691/

