【地域のバリアフリー化】

特別養護老人ホームに入居されているＡさんが若い頃から通っておられた銭湯が施設の近くにあって、交渉の結果、営業時間外であれば 使用させてもらえることになりました。


たまには行き慣れたところに行ってもらいたい、という思いで実施したものです。


Ａさんは基本ほとんど発語のない方ですが、若い頃に行き慣れた銭湯の浴槽に浸かった途端、何とも言えない良い表情で「あー、久しぶりに風呂に入ったわ」と言われました。

もちろん、週２回、施設の浴室で入浴されていたにも関わらず、です。すなわち、Ａさんにとっての風呂とは通い慣れた銭湯のことであり、施設の浴槽は風呂ではなかった、ということです。銭湯という環境が、Ａさんの本来持っている力を引き出し、豊かな表情や発語を取り戻したのではないかと考えられます。

ちなみにこの銭湯では、このことをきかっけに、特養の入居者の利用に支障が出ないよう、トイレをバリアフリーに改装されました。これにより、より多くの方がこの銭湯を利用できるようになれば、より人にやさしいまちづくりへの一つの前進であると考えられます。