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静と動ひかり織りなす紅葉寺
高野事務所ご利用者のMさん絶好調ですね。今月も京都新聞の俳壇に採用されました俳句を続けてご紹介させていただきます。
静と動ひかり織りなす紅葉寺
Mさんの句に再び「ひかり」という言葉が戻ってきました。今までも明の蓮から放たれる「ひかり」、まだ春浅いせせらぎに反射する「ひかり」など、季節ごとの「ひかり」の描き出す情景の色彩や風の音色、影のゆらぎを句に込められてきました。↓
天上へひかり放てり明の蓮
せせらぎの光を纏う土筆摘む
そして、今回は紅葉の美を演出する「ひかり」です。晩秋の天空から注がれる柔らかい「ひかり」の粒子が音も立てずにあちらこちらに動きまわり、木々の葉を朱色に照らしてくれています。ひんやりとした風の流れに乗って、いのち尽きた枯葉が、そこここに散り落ちて、石畳の上を覆います。そこにも「ひかり」は届きとどまり、地上絵を描いてくれます。
この紅葉寺は、Mさんのお家の近くの法然院でしょうか、それともその少し先にある安楽寺でしょうか。一枚の絵画のようなお寺の静謐な情景を眺めながら、「ひかり」の魔術で描かれた色彩豊かな紅葉の世界に、私たちの気持ちは大きく動かされますね。
昔なら、お寺の片隅では枯葉の焚火がされていて、白い煙があたり一面に漂っていました。その煙の行先を眺めていると、よく啄木の次の歌が浮かんできてました。
病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあおぞらの 煙かなしも
冬至も過ぎて今年も残り少ない日々を残すところとなりました。Mさんには今年1年多くの情感あふれる俳句をご提供いただき心より感謝申し上げます。 ありがとうございました。
【安楽寺】 【法然院】
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