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日時計の影の移ろい夏初め

2023/06/19 スマイルBlog

 高野事務所のご利用者Mさんの俳句は、この間、毎月のように京都新聞文芸欄に採用されるようになり、作句へのモチベーションの高さは如何ばかりかと思っているところです。   

    日時計の影の移ろい夏初め

 今回の作品は、太陽が北回帰線に戻ってきて、光が真上からさしてくる夏至が近づいていることを知らせてくれます。 「日時計」という言葉から連想するのは、昔々世界史で学んだエジプト文明の世界です。 人間が「時間」というものを意識するようになったのは、文明の隆盛の背景にあった農業の発展に欠かせなかった季節の概念を確立させる必要があったからだと言われています。いつ種をまき、そしていつ川の水は増えていくのか、いつ収穫すればいいか等々を知るために、太陽や月、星といった天文学を駆使して「時間」という概念を作り上げていったようです。その「時間」を知るツールのひとつに「日時計」がありました。発掘された世界最古の「日時計」は、紀元前1500年頃のエジプトで使用されていたとかで、「日時計」には悠久の歴史があるのですね。  

 少し昔なら、公園や学校に「日時計」が置いてあるところもありましたが、今ではほとんど出会うことはありません。そして今、人間は数秒の誤差もない電波時計なるものを得て、朝から晩まで「時間」に追われる生活をしています。そして「時は金なり」と言わんばかりに無駄を排して徹底した合理化の世界を築こうとしています。

 児童文学書の中でも有名な「モモ」の著者ミヒャエル・エンデは、その作品の中でそうした現代人の「時間」の捉え方や生き方へ警鐘をならし、自分自身を見つめる「時間」や友人と交流する「時間」に目を向けようと主張しています。私たちも、時には、「日時計」の影の移ろいに目をやりながら、それぞれの季節をしみじみと味わい、自分の楽しみのための「時間」を持つようにしたいものです。  

 Mさん、今回も季節の移ろいを知らせてくれる俳句をありがとうございました。

 前回までの作品をご覧になりたい方は↓をクリックして下さい。  https://www.kyoto-fukushi.org/office/news/11399/